日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

7月5日例会討論要旨

本日例会での討論要旨について、お知らせします。

【討論要旨】


本日は坂元宏之氏によって、丸山論文「歴史意識の「古層」」に関する報告が行われた。

最初にフロアから、丸山における「古層」論とその波紋に関する補論が述べられた上で、報告者の当該論文に関する問題関心についての質問が出された。これに対し報告者は、未だ言語化できていないが、丸山が示す基底範疇「つぎ」における絵巻物の例に関して違和感を生ずると返答した。

かかる問題に関しては、加えてフロアより丸山における芸能・芸術の例と、能楽との親和性に関する指摘がなされた。次に近年の丸山研究の動向との関連性から、丸山におけるどの段階から具体的に「古層」論の着想があったのかという質問が出た。

これに対して報告者は、明確な答えを出すことは叶わないが、およそ1960年代頃より丸山において「古層」論の着想が認められると返答した。

最後に、当該論文執筆時における丸山の現代中国認識・現代日本認識に関する質問が出た。これに対して報告者は、極めて難しい問題であるため、ここで的確に答えることはできないとした。

なお、かかる問題に関しては、今年度最初の例会で取り上げた『日本政治思想史研究』における丸山のアジア認識や「近代化」論をも踏まえ、連続性の中で考察してゆく必要があるだろう、という指摘もなされた。参加者は少なかったが、晩年の丸山を考察する上で重要な「古層」論を思想史の上でいかに捉えてゆくか、という問題について有意義な議論がなされたものと思われる。

文責:松川雅信

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