日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

6月2日例会 報告及び討論要旨

6月2日 日本思想史研究会例会 報告及び討論要旨
 本報告では「歴史意識の『古層』」における「記紀神話」に関する丸山眞男の議論をめぐって検討を行った。「歴史意識の『古層』」の内容要約、丸山の「古層」論に対する研究史上の批判、報告者の考察と三つの部分に分けて報告を進めた。『日本書紀』『古事記』における天地創造の記述などを日本人の歴史意識と関連付け、日本人の思想に根源的なものを語り出した「古層」論は、丸山の近代化論の延長線上にあるものと報告者は指摘する。丸山の「古層」論に対する従来の研究には、循環論法への批判をした米谷匡史、丸山にある近代的国民国家概念に規定された「日本」に対する批判を持論する姜尚中・酒井直樹、及び宣長の方法と同型的ものと指摘した子安宣邦などの議論を取り上げて、丸山「古層」論への批判的現状を示した。それらの批判に関して、報告者は丸山の作った「虚像」とした「古層」論を、全面的に否定するのが適当ではないと指摘する。なぜなら、「古層」論は日本の文化受容に関するある種の合理的な解釈からであり、思想史研究上に重要な遺産の一つとして評価すべきと報告者は述べる。
本報告に関して、出された質問と質疑対応は下記の通りである。
①丸山の「古層」論には、『日本書紀』と『古事記』とは区別に扱われたのか。
→区別はない。
②丸山におけて、記紀神話はいかなるものなのか。
→丸山は記紀神話を分析手段として、自分なりの文化論を展開させたわけである。
③明治以降「記紀神話」はどう読んできたのか。近代以降の「記紀神話」を整理したのは誰なのか。まずそれを抑えておこう。
→明治期―大正・昭和前期―戦後に至って、議論は変わっていく。確認できるのは、丸山は宣長の議論を念頭に置いて記紀研究を扱っていた。明治期の記紀神話研究は江戸期の記紀認識を受け継いで発足したものであろう。
➃丸山の語った「古層」論をどう評価すべきか。丸山自身はどのように「古層」を克服するのか。
→批判の先行研究の指摘したように確かに問題がある。しかし、丸山は後に「古層」論を克服しようと努力し、鎌倉仏教や武士のエートスやキリスト教などから、日本の文化を再考するためにそのような要素を掘り出そうとしたわけである。
◎提案意見:研究史の整理に注意したほうがよい。

文責 黄薇姍

PageTop