日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

2015年7月2日討論要旨

討論段階では、まずホ氏が提示した論点――帝国の時代において、イギリスの植民地政策の目的は、領土拡張ではなく、従来の貿易と支配の維持にある――に対し、日本戦前の「オールドリベラリスト」の「植民地放棄」「貿易立国」といった主張が、当時のイギリスの政策と類似しているとコメントされた。報告者は、戦前日本の自由主義者たちは確かにイギリスをモデルとしていたが、具体的な理論と実践が欠けていたから、挫折したと答えた。続いて報告者が用いた「非公式帝国」概念への再解釈が求められ、報告者はその概念が加藤陽子氏の論述から受け継いだもので、非マルクス主義的帝国論である、ギャラハーとロビンソンによって提唱された「自由貿易帝国論」の中核概念であると答えた。従来の植民地帝国を「公式帝国」と定義される一方、政治的・経済的な従属下にあるものの公的な支配を伴わない帝国を、「非公式帝国」と呼ばれ、総じてウォーラーステインが提唱した政治的統合を伴う「世界帝国」vs政治的統合を伴わない「世界経済」といった対概念と似ていると回答した。

文責 張琳

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