日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

2015年6月11日例会報告要旨

本報告では、E・J・ホブズボーム『資本の時代』における報告者の担当範囲であった四章「紛争と戦争」、五章「諸国民の形成」、六章「民主主義の諸勢力」について簡単な内容要約を行い、そのうえで当該箇所に関した論点を提示した。
 論点としては、先行するナショナリズム論や、あるいはホブズボーム『創られた伝統』における議論をも交えつつ、本書に示された「諸国民の形成」がもつ特徴を剔出してみた。ナショナリズムを、近代においてまさしく「想像」されたものであると見なしたB・アンダーソンや、ナショナリズムの原型としての「エトニ」を見いだすA・スミス等と比較してみると、ホブズボームが本書において示した「諸国民」の形成過程は、複雑な歴史的諸事情における仔細に目配りがされている点において特徴的であるといえる。併せて、ナショナリズムの高揚を、したからの「民族主義」と接点をもつ「民主主義の諸勢力」との関わりにおいて論じている点も、ホブズボームの議論に特徴的な点として見いだすことができると思われる。

文責:松川雅信

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