日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

2015年6月11日例会討論要旨

議論1
◆「民族意識」と「国民国家意識」の差異をいかに克服し、国家を形成するに至ったのか?
→ホブズボームによれば、民族的感情とは別の次元で、「人工的産物」として「国家」が成立したという。しかし逆説的に、「国家」を形成するためには、「民族意識」を超克しなければならないという捉え方もできる。ここで、なぜホブズボームは「国家」形成のために抑圧されざるを得ない「民族意識」という要素に、あえて触れたのか?という疑問が生じる(ここで議論2へと移行)。
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議論2
◆ホブズボームにおける、上からの国民国家構想とは別の、下からの「民族主義」「少数民族」という視点はいかなる意味を持つのか?
→議論するにあたって、アンダーソン、スミスの思想との比較対象が挙げられた。前者は民族と国家の「断絶」を、後者はそれらの「連続」を描く歴史的視点を持つ(アンダーソンは国家の上からのはたらきかけを重視しつつも、下からの民族的視点についても少々触れており、必ずしも「断絶」とは言えない要素もあるという指摘があった)。
⇒これらに対してホブズボームは第三者的視点に立ち、「断絶」や「連続」といった単線的視点とは異なる、複雑な歴史的視点を持つのではないかという結論に達した。
⇔しかし、依然としてホブズボームの歴史観は不明確なままであるため、これからの報告において解明されることを期待したい。

文責:大平

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