日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

2014年11月6日例会報告要旨

本稿は学部卒業論文に、大学院入学後に整理した先行研究を加え、加筆修正したものである。これまでの研究は主に荻生徂徠の『政談』から彼における「礼」の認識、またそれをもとに構築した理想的な社会モデルについて考察したものであった。子安宣邦氏が「事件的」 であると評価したように、荻生徂徠の思想は当時の時代において、非常に衝撃的な存在であったといえよう。その特徴の一つに熱心な政治参与がある。江戸時代の儒学者は、社会制度上の制限により政治とはほとんど縁がなかった。荻生徂徠のように儒学を使い、実際の政治に携えた儒学者はきわめて稀である。徂徠以外、このような影響力が持ち、政治にも実際参加できたのは、官学としての林門の羅山諸人や、儒学者である熊沢蕃山、新井白石ら数人しかいなかった。そのため、他の学者と比べれば、より実用的な性格を有すると言えるだろう。徂徠の学説は当時の社会でも大きな影響力を持っていた。「享保年間の中頃以降、その興隆ぶりは『世ノ人其説ヲ喜ンデ習フコト信二狂スルガ如シ』 というりさまであった。」 荻生徂徠の学説は当時の社会に大きな影響を与えていたといえよう。
荻生徂徠は、「礼楽制度」の再興により、「天下を安ずる」の目的を達成する主張より自らの学説を展開していた。その中に「礼楽」という概念が彼の著作に常に言及され、彼の学説におけるもっとも核心的部分だと考えられる。そのため、本稿は『政談』、『弁名』、『弁道』三つの著作に基づき、荻生徂徠が論じる「先王の道」にある「礼」についての認識を取り上げ、荻生徂徠が考える理想的な社会構想を探究したいと思う。

文責:石 運

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