日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

2014年4月24日例会岩根報告要旨

今回の報告は、羽仁五郎班の第一回目報告として、とりわけ戦前期における羽仁五郎の研究著作を検討し、その中でも江戸思想史研究と明治維新史研究をめぐる概観を示した。とりわけ、羽仁五郎の初期における研究は江戸思想史に関するものが多く、本報告では、その思想史研究の論理構造を把握し、マルクス主義歴史学としての思想史的アプローチと、羽仁五郎が生涯にわたり、一貫としてクローチェをめぐる発言を行っていることを踏まえて考察した。それは羽仁自らが「過去を現実において捕ふ」という歴史叙述をめぐる問題を考えていたことを示唆していたことを考察した。また、羽仁史学における明治維新史研究についても検討を試み、羽仁史学における「人民史観」との関連性についても再考を行った。周知のように、羽仁史学を単なる学説史ではなく、時代的文脈も取り込みながら考察を試みる、というアプローチから「戦後日本の歴史学の史学史検討」という前期例会の共通テーマに即していえば、講座派マルクス主義歴史学と羽仁五郎との関係、またコミンテルン内部で行われた、「27年テーゼ」から「32年テーゼ」に至るまでの経緯、そして、羽仁五郎とコミンテルンとの関係性については、本報告では言及することができなかったが、いずれの問題も重要なものである。質疑応答において提起された課題については、限られたグループ報告の場を通して、改めて考え直したいと思っている。

文責:岩根卓史

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