日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

2013年10月31日例会報告要旨

タイトル:筧克彦の思想と「日本体操」
報告者が報告で取り上げたのは、戦前の神道思想家である筧克彦の身体技法論である。筧克彦は、大正から昭和戦前期に活躍した人物で、東京帝国大学法学部教授でありながら、記紀神話から天皇信仰の普遍性を主張する「古神道」、「神ながらの道」を説いた人物として知られている。だがその一方で、筧が体操や健康法などの身体的実践を重視していたことに注目した研究は皆無にちかい。また、筧が考案した「日本体操」(やまとばたらき)という身体技法の支持は、国内だけでなく植民地を含めた帝国日本の全体に及んでいるにも関わらず、ほとんど注目されていない。ゆえに、日本体操を研究の対象とすることは、近代天皇制の支配の構造と身体的実践の具体的諸相を明らかにするだけでなく、日本国内にとどまらない、植民地にも及ぶその関係性を追うことにつながるのである。
 身体技法の展開を具体的にとらえるために、報告者は日本体操(やまとばたらき)に注目した。この日本体操とは、筧克彦が考案した儀礼と身体的訓練を組み合わせた体操である。この日本体操は、身体的実践を通して天皇崇拝を人々の心に受容させるのに有益な体操として、守屋栄夫や二荒芳徳ら、当時の有力な政治家・官僚などに高く評価されていた。また、加藤完治など筧と親しい関係にあった農本主義的な農業指導者は、実際にこれを採用して、満州への開拓移民を養成する農業訓練所や開拓地において、青少年に実践させている。今後はこうした筧の身体技法を歴史上にどのように位置づけることができるのかを明らかにしていきたい。

文責 西田彰一

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