日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

10月17日例会報告要旨

今回は、「政治的中心地をめぐる葛藤―慶喜政権期の京都と江戸―」と題して、慶応2年12月5日将軍宣下から慶応3年10月15日大政奉還までの慶喜政権の性格の一端を明らかにすることを目的に報告を行った。従来の先行研究は、長州処分・兵庫開港などなにかしらの政治的な意見対立、相克の過程を分析することで近代国家形成の道筋へつなげる手法をとっていたが、江戸と畿内に分離した慶喜政権の組織運営の問題を無視しており、具体的な実証研究がなかった。
そこで、幕府と諸藩留守居との関係性に着目し、諸藩からのさまざまな許可申請に対して幕府が先例に基づく可否を判断することについて、将軍が変転する政局に乗り込み畿内に駐留して江戸を留守にしている状況を踏まえ、政権の所在とその構造を統一的に把握することとした。
そして実証研究に基づいて、全封建領主を統合して江戸を中心に公権力として存在していた徳川家が京都で公権力を再編成することの限界。江戸で蓄積された諸藩間との「先例」の重要性と諸藩留守居を通じて申請・達を行う江戸のシステムは、「公儀」である大きな存立根拠の1つで無視できなかったことを明らかにした。

文責:宮本

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