日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

7月18日例会石原報告要旨

竹内好が、文明という基準でもってアジアを見る日本をどう語っているのかという点に興味があったため、文庫版著作集の題ともなっている「日本とアジア」をテーマとした。

 この文章は文明一元観批判を軸に日本の近代、そして竹内の生きた時代の批判が展開されている。この背景には、戦後の諸政策の中で、何ら自らの手で方向性を見出せないまま、エセ文明の中にとらえられていく日本の当時の状況があろう。文明(=西欧)という価値を追い求めたが故に、文明から断罪されるに至った戦前と同じものを見ているのだろう。普遍の価値を盲目に追従していくことに対して疑念を抱くことという姿勢は、この文書が書かれた4年前の「アジアの進歩と反動」の中での、「普遍的な進歩」「普遍的な反動」であるという保証があるのかという疑念とも重なるものだろう。このような、他者から与えられた価値を無我夢中に追う姿勢を批判し、一方で危機感をもって独力で新たな文明を発見するアジアを理想とすることは、今期の研究会で明らかにしてきた竹内像と重なるところかと思う。

 竹内がこの時点で批判している文明一元観は、アジアに渡ることが難しかった時代の人々に向けられた批判であるが、一方で現在は簡単に行き来できるようになった現在でも日本のアジアの見方は大きく変化を遂げていないのではないかという疑問から、竹内の示唆から現在のアジアとの関係を考えることを試みた。

文責:石原

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