日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

7月18日例会石原報告討論要旨

石原和氏より「日本とアジア」(初出『近代日本思想史講座』第七巻、筑摩書房、1959年)の報告が行われた。主に石原氏が私見として出された部分につき、質疑が行われた。
報告者が、現在も日本において「アジアの盟主」であるという意識が続いていると指摘している箇所に対して、松川雅信氏よりここで出されている「アジアの盟主」をどう定義して考えているのかという質問が出た。報告者からは、日本のアジアに対する優越感を指して使用した事、そしてなおもそれが戦前日本より継続している問題であるという応答がなされた。これに対して引き続き、松川氏より、むしろ「アジアの盟主」は、戦前にとなえられた「東亜新秩序」が欧米を意識したものであり、その意味では断絶しているのではないかという質問が出たが、報告者からはアジアへの文明的な優越的な感覚を指して使用したことを強調した。最後に、その問題は竹内好の問題だけでは考えられず、資本主義の問題も含めたものではないかという指摘がなされた。
次に田中俊亮氏より、竹内が文中に使用している「エセ文明」という言葉に対して、石原氏が私見の中でアメリカ、西欧を「エセ文明」として捉えているのは文脈的に違っているのではないかという質問がなされた。報告者は、「エセ文明」は「追従すべきもの」として考えていると応答がなされた。これに対して、「エセ文明」は日本が文明開化のような形で歪んだ形での「文明」を取り入れたことなどを指してのことではないかという再度の質問に対して、報告者は東京裁判におけるパール判事の「文明」の虚偽を念頭にして捉えていたという応答がなされた。

文責:山口

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