日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

7月11日例会報告要旨

本報告では、1960年代前半の竹内における講演「方法としてのアジア」を取り上げた。最初に内容要約を行い、本講演前全体の主旨が、1948年に竹内が発表した「中国の近代と日本の近代――魯迅を手がかりとして――」を敷衍する形でなされていることを指摘した。その上で、本講演でなされた竹内の「中国の近代化」という議論が、「中国革命」の気運を鑑みながらも、他方では戦前日本の中国研究における「シナ停滞論」への読み換えとして成立していた点を指摘し、もって戦前日本のアカデミズムの動向との関連から竹内思想を位置づけようと試みた。続いて、本講演「方法としてのアジア」が、その後の思想史研究の中にあって、いかように受容されてきたかについての考察を行った。具体的には、溝口雄三「方法としての中国」「方法としての中国独自の近代」、ならびに子安宣邦「方法としての江戸」を取り上げ、各々の議論における特質とそこに内包される問題点を指摘した。最後に、いかに「アジア」は今日日の「方法」たり得るのかという問いを立て、「本物の」竹内思想の再構成を忌避する他方で、いかに我々は「方法としてのアジア」を引き受けることができるのか、という問題提起を行った。そして、かくなる問題提起に対して、殊に戦後日本への内省的な問い返しとして「アジア」は「方法」として可能なのではないか、という試論を示した。

文責:松川雅信

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