日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

6月6日例会討論要旨

5月9日の日本思想史研究会では竹内好の日本人の中国観」(『展望』45号(1949年9月)初出、原題は「伝統と革命――日本人の中国観」)を扱った。この論説は、張群(1888~1990)の来日時のメッセージに対する竹内の答えとなっている。発表者(坂本)は、張群の日本へのメッセージから、それを報道する日本の言論界や日本人の中国観に対する竹内の批判を、テキストに則してまとめた。とくに竹内は、張群のいう「思想革命と心理建設」に重点をおいてみないかぎり、中国人の日本に対するメッセージの所在が見逃されると指摘した。しかし、言論界ではその点を無視し、中国革命を国民党と中共の対立の面ばかりでみていると、イデオロギイ的な対立をそのまま国民感情の対立と思い込んでいると、竹内は批判する。また、かれはこのようなイデオロギイだけを問題にし、それを超越的な価値の尺度にしてしまうやり方を日本的な偏見と規定する。
 考察として報告者は、張群が「日本国民」へ伝えたかったことが何であったのかという問題に重点をおき、当記事が掲載された9月12日付の『朝日新聞』朝刊から、張群のメッセージや行動記録をまとめた。これに対し、報告者の分析自体が、本論説における竹内の批判の本拠であるという指摘があった。

文責:許智香

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