日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

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2013年6月13日例会討論要旨


討論は松本報告・岩根報告を一括して行った。松本報告における岡倉天心の「アジアは一つ」から竹内好は「方法としてのアジア」を読み取ったのではという結論に対して、結論が早急で分析方法を吟味すべきではとの指摘があった。この他、数点確認の質問が行われた。
 ここで司会から、両報告を架橋して論ずる視座として、大川周明のアジア観が岡倉天心に似ているという竹内の主張(「大川周明のアジア研究」全集p.194)があり、かつ松本報告が取り上げた「岡倉天心」は1962年、岩根報告の「大川周明のアジア研究」は1969年であり、その間には「日本のアジア主義」(1963年)があるが、アジア主義の中で天心・周明はいかに位置づけられるのかという提起を行い、お互いの報告を踏まえた報告者の感想を尋ねた。松本氏は、「美」や「儒教」といった根本的原理を持ってアジアを見ることに眼差しの近さがあるのではないかと答えた。岩根氏は、この質問は議論がぼやけるのではと司会者に苦言を呈しつつ、竹内の認識において「アジア」が拡張されてゆく点に注目していると答えた。
 続いて参加者からの質問を受け付けた。竹内の大川周明の評価が右翼・戦犯にも拘わらず甘いものとなっているのはなぜかという質問が出された。岩根氏は、1969年において固定的なイメージを破る意図を持って敢えて挑発的なことを言ってみたのではないか。戦時中の周明については竹内も評価しておらず、回教研究所での周明から語っている点が重要であると回答した。また、天心と周明が東西文明論で共通しており、天心は日本の外部を重視し、周明はアジア全体を重視したが、ここで日本の位置をどう評価できるのかという質問がなされた。松本氏は、天心の議論がインドも視野に入れていた点に触れて「アジア」に日本は帰るべきだが、現実には侵略を行った日本という図式があったのではと回答した。岩根氏は、日中対比で「アジア」を見る竹内の議論では、第一に日本は補助的役割しか担っていないこと、第二にその「アジア」は可変的で議論の都合に良いものとして扱われている印象を受けたことを述べた。

文責;冨山仁貴

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