日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

5月23日例会討論要旨

マッラ・サルバトーレ氏によって「竹内好『日本とアジア』――「東洋人の日本観」」の報告が行われた。まず、サルバトーレ氏に対する質疑応答では、松本智也氏により、中国が核実験を行った際の竹内の感想とは何かという質問があった。これについて、石原和氏が調べ、「よくやった、よくぞアングロ・サワソンとその手下どもの鼻をあかしてくれた、という一種の感動の念」と紹介した。

次に、方阿離氏が、タゴールの言ったインドと中国の連帯感が、いつ得られたのかと質問した。これに対して、報告者はタゴールが日本訪問以前行った中国訪問の時だと推測した。

風間建氏は「アジアだから語られる近代した竹内好」と、「東洋・西洋の範疇を超え、一つの普遍的イデーとして近代を捉えた丸山真男」という自らの視点を述べ、その間に存在する差異を指摘し、日本はアジアとして語られるのかと問題提起した。これに対して、松川雅信氏はアジアという概念の発信者は日本であり、アジアの端にある日本だからこそアジアという概念を発信できると指摘した。このような思考を踏まえて、竹内の思想の源を遡る契機とできるのではなかろうかと議論が広がった。

また、上埜氏により、タゴールの文明論・自己再生とは具体的にどのようなイメージであるかという質問があった。報告者は、それが近代化過程における日本のリーダー的役割が要求され、インドの場合は、西洋の介入以前に戻るという意味を持つと答えた。

最後に、宮本敦恒氏から、取り上げられた竹内の原著を要約する際、タゴールに重心を置いているが、タゴールの近代に対する考え方についての議論にもできないという報告の構成について批判があった。加えて、報告全体を通して、竹内の近代観・アジア観が読み取れないという批判が出た。また竹内は何故西洋に近いタゴールをもって「東洋人の日本観」を語ったのかという疑問も残された。

文責:殷暁星

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