日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

11月30日 例会予告

議題:近代化における陽明学の研究
    ―松村介石を中心に―
報告者:古 文英

要旨:
 内村鑑三、植村正久、田村直臣と共に明治基督教の「四村」と呼ばれた松村介石は「東洋思想と一体化させた゛陽明学的キリスト教″を唱え、それをさらに発展させて、新宗教としての『道会』を設立し、諸宗教の再改革を提唱」したキリスト教指導者である。明治の初期、日本におけるキリスト教は欧化思想の台頭とともに洋学の普及も俄かに急となり、長く禁制であった耶蘇教の禁が解かれてはじめて自由の空気を呼吸できる状態を迎えた。今回の発表は、こういう背景のもとで、基督教教徒としての松村介石はどうして、どのように陽明学を受容するのかを考察してみる。
参考文献(一部):
松村介石『立志之礎』、警醒社、1889年
松村介石『信仰五十年』、大空社、1996年
昭和女子大学近代文学研究室編「松村介石」、『近代文学研究叢書』第45巻、昭和女子大学近代文化研究所、1977年
荻生茂博『近代・アジア・陽明学』、ぺりかん社、2008年
小島毅、『近代日本の陽明学』、講談社、2006年
大橋健二『良心と至誠の精神史』、勉誠出版、1999年

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11月23日 例会予告


論題:神話における宋代広州――広州南海神廟「六侯之記」石刻をめぐって
報告者:張振康(大阪市立大学)
要旨:南海神が広州で土着化しつつあるという背景において、四つの物語で構成された「六侯之記」の神話は、四つの外来的人物像、つまり天竺人、北人、蜑家人とムスリムが広州本地の南海神の周辺に守護していることが語られるものである。こういう神話的場面は本当の歴史に基づいて描かれるのであれば、上記の天竺人、北人、蜑家人とムスリムという外来的な四つの集団は、海を渡って広州に来航して、当時広州の地元の人々と生活して、広州の多元的な社会人種の構成を促してきた存在として位置づけられよう。要するに、この「六侯之記」という神話物語から、当時広州で住んでいた人々には、広州社会における人種的集団の構成に関する認識が読み取れるように考えられる。

参考文献(一部)
黃兆輝・張菽暉 編撰『南海神廟碑刻集』(廣東人民出版社、2014年五月)
黃鴻光「南海神廟「六侯之記」碑辨偽」(『廣州文博』、1987年第一期)
王元林『國家祭祀與海上絲路遺跡』(中華書局、2006年8月)
王頲『西域南海史地考論』(上海人民出版社、2008年6月)
藤田豐八『東西交渉の研究』(萩原星文館、1943年)
桑原騭藏撰、宮崎市定編『蒲寿庚の事蹟』(平凡社東洋文庫、1989年)
吳水田『話說中國海洋文化系列・話說疍民文化』(廣東經濟出版社、2013年7月)

以上よろしくお願いいたします。
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11月16日 例会予告

議題:来日明人独立性易の思想――「華夷の弁別」を中心に
報告者:黄薇姍
参考文献
石村喜英「戴曼公独立禅師の偉績」(『深見深岱の研究――日中文化交流における玄岱伝と黄檗独立禅師伝』雄山閣、1973年)
高井恭子「明末帰化中国僧の学識について」(『印度學佛教學研究』49(1)、2000、251-253)
徐興慶「独立禅師と朱舜水――文化伝播者の異なる論述」(『東亜文化交流與経典詮釋』臺大出版中心、2008年、113-155頁)
徐興慶「日中文化交流の伝播と影響――徳川初期の独立禅師を中心に」(『比較日本学教育研究センター年報』7、2011-03、167-174)
徐興慶「「儒、釋、道、醫」的中日文化交流――従戴笠到獨立性易的流轉人生」(『臺大歴史學報』54、2014-12、123-210頁)
伊香賀隆翻刻・解説「独立性易「護法論抄序」の翻刻と解説」(『佐賀大学研究紀要』8、2014-03、55-65)
徐興慶『天閒老人獨立性易全集』(臺大出版中心出版、2015年)

以上よろしくお願い致します。
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11月09日 例会予告

論題:「治道」とはなにか――『大学是正』からみる伊藤蘭嵎の思想
報告者:石運(セキウン)
要旨:本報告は、従来の古義堂研究でさほど注目されなかった伊藤蘭嵎という人物に焦点を合わせ、その学問思想及び古義堂における位置づけについて簡単に考察したものである。まず先行研究の成果また現在調査した史料により、その経歴、著作を紹介した上で、『大学是正』という本からその独自な『大学』理解を分析する。また、今までの古義堂における『大学』認識に関する考察を踏まえて、仁斎から蘭嵎まで古義学の展開と変動についても把握してみる。

参考文献(一部)
・狩野直喜『読書撰余』弘文堂書房、1947
・加藤仁平『伊藤仁斎の学問と教育』第一書房、1979(初版1940)
・中村幸彦『中村幸彦著述集』第11巻、中央公論社、1982
・笠井助治『近世藩校の総合的研究』吉川弘文館1960
『近世藩校に於ける学統学派と学風』吉川弘文館1969
・西田耕三『啓蒙の江戸』ぺりかん社、2017
・劉勇『変動不居的経典:明代『大学』改本研究』2016
・陳文新編『四書大全校注』武漢大学出版社、2009

史料(一部):
伊藤仁斎『大学定本』(元禄十六年抄本、正徳四年刊本)
伊藤東涯『大学定本釈義』(享保十八年浄書本)
伊藤蘭嵎『大学是正』(天理自筆本、国会自筆本)
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11月2日 例会予告

 論題:「儒医」論に関する再考
   −伊藤仁斎と香川修庵を中心に−
報告者:向静静

史料
伊藤仁斎「儒醫辨」『近世儒家文集集成第一巻 古学先生詩文集』ペリカン社、1985年9月
「行餘醫言序」『近世漢方医学書集成65 香川修庵(一)』名著出版、1982年5月
「復田邊南甫書」「再復田邊南甫書」「三復田邊南甫書」「五復田邊男甫書」「壽養菴後藤先生七十序」『近世漢方医学書集成69 香川修庵(五)』名著出版、1982年7月
参考文献
石原明『日本の医学―その流れと発展―』至文堂、1959年9月
石田一良『人物厳書 伊藤仁斎』吉川弘文館、1960年1月
宮本忍『医学思想史Ⅲ』勁草書房、1975年12月
有坂隆道「親試実験主義の展開」『ヒストリア』第8号、大阪歴史学会編、1953年12月

よろしくお願いいたします。
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