日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

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2016年1月21日 例会予告

報告題名 「中世の軍記物語における武士像の形成―『平家物語』と『太平記』を中心に」
報告者 于君(広島大学)
参考文献 
市古貞次校註・訳『平家物語』(①/②)小学館、1994年
兵藤裕己校註『太平記』(一)、岩波文庫、2014年
兵藤裕己校註『太平記』(二)、岩波文庫、2014年
兵藤裕己校註『太平記』(三)、岩波文庫、2015年
兵藤裕己校註『太平記』(四)、岩波文庫、2015年
山下宏明校註・訳『太平記』(三)、新潮社、1980年
山下宏明校註・訳『太平記』(四)、新潮社、1985年
山下宏明校註・訳『太平記』(五)、新潮社、1988年
石母田正『平家物語』岩波文庫、2010年、初版1957年
鈴木彰「戦争と文学」(小峯和明編『日本文学史』吉川弘文館、2014年、所収)
菅野覚明『武士道の逆襲』講談社現代新書、2004年
津田左右吉『文学に現はれたる我が国民思想の研究』(三)岩波文庫、1977年、初版1917年
板坂耀子『平家物語 あらすじで楽しむ源平の戦い』中公新書、2005年
兵藤裕己『太平記〈よみ〉の可能性 歴史という物語』講談社選書メチュ、1995年
相良亨『武士道』講談社学術文庫、2010年、初版1968年
武田昌憲「平重盛 『平家物語』の孝子説話」(『アジア遊学No112 特集 アジアの孝子物語』勉誠出版、2008年、所収)
櫻井庄太郎『恩と義理―社会学的研究』アサヒ社、1961年
和辻哲郎『日本倫理思想史』(二)、岩波書店、2011年、初版1952年
・池上英子著・森本醇訳『名誉と順応 サムライ精神の歴史社会学』NTT出版、2000年

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12月24日 例会報告要旨

月性『仏教護国論』の主張とその影響

 今回の報告では、幕末期の代表的な勤皇僧の一人である西本願寺の月性が著した『仏教護国論』について取り上げた。『仏教護国論』は、開国により西洋との貿易が始まったことでキリスト教が流入し、日本仏教ひいては日本が衰退することへの月性の危機感から執筆され「護法・護国・防耶」を一体のものとして訴えた文書である。月性は、キリスト教流入に対抗するためには八宗の僧侶が民衆を教化し民心を統一してキリスト教に惑わされることが無いよう「教ヲ以テ教ヲ防グ」こと。諸外国との紛争が起きれば庶民も武器をとり、皇国を防衛するべきであるとの主張を展開した。西本願寺は月性の主張に立脚して勤皇の態度をとって長州藩に接近し、他の仏教宗派にさきがけて新政府への支持を表明した。また、明治維新後には月性の「教ヲ以テ教ヲ防グ」という主張は大教院の設立によって実現する。しかし、大教院は島地黙雷による大教院分離運動によって解体され、月性が敵視したキリスト教信仰は、信教の自由の保障を求める諸外国の抗議もあって黙許されることになった。『仏教護国論』での主張は幕末期においては西本願寺を勤皇に傾かせる影響力を発揮したが、西洋の政治制度を導入することで近代化を行うという明治時代に入ってからは一挙に影響力を失うこととなった。月性の主張には限界が存在していたものの、明治以降の国民国家建設の志向とナショナリズムの萌芽ともとれる主張も存在しており、これらの点については今後の調査が必要である。報告後の質疑応答では、発表の力点が月性の主張に置かれているのか、近代日本と仏教との関係に置かれているのか不明瞭であること、同時代の国学・水戸学などとの関連についても言及が必要であるとの指摘を受けた。

文責:橘 宏
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1月7日 例会予告

報告題名 「近世日本における経験的合理思想の形成(仮)」
報告者 大平真理子
参考文献
佐久間正「西川如見論―町人意識・天学・水土論―」(『長崎大学教養部紀 要』人文科学篇、第26号、1985年)
八木清治「経験的実学の展開」(『日本の近世13 儒学・国学・洋学』中央公論社、1993年)175~214頁
高野信治「「世界」と「神国」―西川如見の「天学」をめぐって―」(九州史学研究会編『九州大学』創刊50周年記念論文上『境界のアイデンティティ』岩田書院、2008年)231~261頁

 それでは、よろしくお願いします。

大平真理子
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