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日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。

2019年度新歓講演会・花見大会

1、新歓講演会

日時:4月4日(木) 16時~17時
場所:立命館大学衣笠キャンパス 究論館1階 プレゼンテーションルームA
論題:幕末期陽明学者池田草庵の修身論について
講師:古文英

講演会の後、2019年度前期例会の全体テーマ及び報告の日程について簡単な打ち合わせを行いたいと思います。今年度のテーマとして、「西洋という他者」を提案いたしましたが、その具体的な進め方等を検討する予定です。そのため、より多くの会員の皆様に御参加いただけるようお願いいたします。


2、花見大会

日時:4月4日(木) 18時~
場所:平野神社 花見処ひさご

お酒と食べ物はこちらからある程度の用意をいたしますが、もし御一人につき一品ほどの料理を御持参いただければ助かります。

皆様の御参加、心よりお待ちしております。

花見大会
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2019年1月8日(火)例会予告

論題:安丸良夫の思想形成と安丸史学の方法

報告者:渡邉啓太

要旨:
 本報告は、日本思想史研究者安丸良夫の思想形成過程をマルクス主義や丸山眞男などの同時代の思想とのかかわりから分析することで、他の民衆思想家とは区別される安丸良夫独自の思想と歴史学の方法論を探るものである。
 安丸の民衆史研究は、E.P.トムスンやE.ホブズボームのようなイギリスの民衆史家の仕事やインドの歴史家集団サバルタン・スタディーズの仕事と比較され、それらと似通ったもの、あるいはその論点を先取りしていたものとしてしばしば語られる。例えば長谷川貴彦は、トムソンらイギリスのマルクス主義民衆史家の研究と安丸の研究を比較してそこに同型の問題意識と論理構成を見出し、彼らが同時並行して民衆史を開拓してきたと述べている(長谷川貴彦「安丸民衆史の射程――ヨーロッパ史の視点から」『現代思想』44巻16号、青土社(2016)、pp208-219)。また、磯前順一はサバルタン・スタディーズ、とりわけ同グループに「転回」をもたらしたとされるG.C.スピヴァクと安丸を比較し、安丸の研究を「すでに一九六〇年代の段階から、スピヴァクがサバルタン性と呼んだような民衆の表象不能性をふまえた研究」だとし、また「スピヴァクの問題意識を先取りしたかたちで、歴史叙述の実践的現場からいちはやく問題提起した」歴史家として安丸をとらえている(磯前順一「思想を紡ぎ出す声――はざまに立つ歴史家 安丸良夫」安丸良夫・磯前順一編『安丸思想史への対論――文明化・民衆・両義性』ぺりかん社(2010)、p299)。
 しかし、安丸の問題関心や思想はもともと「人はなんのために生きるのか」といった「人生論風の哲学」から出発して、丸山眞男やマルクス主義、それら諸思想を打倒せんとして登場してきた「近代化論」などさまざまな同時代の諸思想から強い影響のもと形成されてきたものであり、最初から「民衆」にかかわるものであったわけではない。もっといえば、トムスンやスピヴァクといった思想家が「民衆の歴史」を描こうとしたのに対し、安丸は「歴史のなかの民衆」を描くことにこだわりつづけた。安丸はあくまで「近代」のような「全体性」を把握しようとしつづけたのであり、そこに彼の思想の独自性が見られるように思われる。
 本稿では、学部生時代から彼の歴史学の手法が確立されたと思われる1970年代までの安丸の思想の変遷を追い、ついで安丸の思想を考えるうえでキーとなるであろう「全体性」概念を軸に安丸史学の方法がどのようなものであったかを分析する。

参考文献:
・R.グハ/G.パーンデー/P.チャタジー/G.スピヴァック(竹中千春訳)『サバルタンの歴史――インド史の脱構築』岩波書店(1998)
・P.チャタージー(粟屋利江・植松歩美訳)「『サバルタン・スタディーズ』略史」『みすず』571号、みすず書房(2009)
・磯前順一「思想を紡ぎ出す声――はざまに立つ歴史家 安丸良夫」安丸良夫・磯前順一編『安丸思想史への対論――文明化・民衆・両義性』ぺりかん社(2010)
・鹿野政直「民衆思想史の誕生――道標としての安丸良夫」『現代思想』44巻16号、青土社(2016)
・崎山政毅『サバルタンと歴史』青土社(2001)
・戸邊秀明「戦後史学史のなかの安丸民衆史――ある全体性のゆくえ」安丸良夫・磯前順一編『安丸思想史への対論――文明化・民衆・両義性』ぺりかん社(2010)
・友常勉「「経験的なるもの」の歴史記述――断章、スピヴァク」『現代思想』27巻8号、青土社(1999)
・永原慶二『20世紀日本の歴史学』吉川弘文館(2003)
・成田龍一『歴史学のナラティヴ――民衆史研究とその周辺』校倉書房(2012)
・成田龍一「解説 歴史学の<方法>と「戦後知」としての歴史学」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・西川祐子「安丸良夫『出口なお』の再読」『現代思想』44巻16号、青土社(2016)
・長谷川貴彦「安丸民衆史の射程――ヨーロッパ史の視点から」『現代思想』44巻16号、青土社(2016)
・東島誠「安丸良夫の「近代」と歴史の追創造」『現代思想』44巻16号、青土社(2016)
・平野克弥「ヘーゲルの亡霊と民衆史のアポリア――安丸歴史学の認識論的前提の問題をめぐって」『現代思想』44巻16号、青土社(2016)
・安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』平凡社(1999)
・安丸良夫『現代日本思想論』岩波書店(2004)
・安丸良夫『出口なお――女性教祖と救済思想』岩波書店(2013)
・安丸良夫「色川大吉と戦後歴史学――「民衆史」の構想力」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・安丸良夫「回顧と自問」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・安丸良夫「黒田俊雄の中世宗教史研究――顕密体制論と親鸞」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・安丸良夫「戦後知の変貌」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・安丸良夫「前近代の民衆像」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・安丸良夫「日本の近代化についての帝国主義的歴史観」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・安丸良夫「方法規定としての思想史」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・安丸良夫「丸山思想史学、遠望する灯火」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集5 戦後知と歴史学』岩波書店(2013)
・安丸良夫「思想史研究の立場――方法的検討をかねて」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集6 方法としての思想史』岩波書店(2013)
・安丸良夫「『文明化の経験』序論 課題と方法」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集6 方法としての思想史』岩波書店(2013)
・安丸良夫「『<方法>としての思想史』 はしがき」島薗進・成田龍一・岩崎稔・若尾政希編『安丸良夫集6 方法としての思想史』岩波書店(2013)
・安丸良夫/タカシ・フジタニ「対談 いま、民衆を語る視点とは?――民衆史とサバルタン研究をつなぐもの」『世界』663号、岩波書店(1999)
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2018年12月18日(火)例会予告

論題1:明治初期の宗教政策――巫女と禁令を中心に

報告者:キム・ナヒョン

要旨:
 日本の民俗学の大家である柳田國男の「巫女考」のなかでミコの二つの種類、また各地方のミコという日本のシャーマン、そのなかでも女性だけをとりあげたミコという存在について民俗学の視点から考察している。そのなかで目立つのは当時のミコの一般的なイメージである。当時のミコのイメージというは神社の社頭で白い著物に紅の袴をはき鈴を以て舞うところの干菓子のごとく美しい少女をミコと呼んでいたらしい。そして現代人においてもこのイメージはさほど変わらないように見える。
 しかし柳田國男はもちろん他の民俗学者たちも説明しているよう、ミコという存在は神社に従事してるものだけでなく、よりシャーマニズム的な民間で口寄せ、占い、病気治しなどを行っていたもうひと種類のミコが存在する。この者たちは民間、または民衆のなかでいろいろな役目を果たしていた。これが日本の近代化の過程、特に明治維新とともに行われた神仏分離という宗教政策の中で法律的にその行為を禁じられることになる。
 本報告ではその二種類に分けられるミコという存在の確立、また日本の近代化の中でどのような禁令を受け、また地方でどのような行為について禁令が下されていたのかを整理することを目標とする。

参考文献:
・『法令全書』(内閣官報局、1868年)
・柳田國男「巫女考」(『柳田國男全集11』筑摩書房、1990年)
・中山太郎『日本巫女史』(国書刊行会、2012年、初出1930年)
・竹内利美・谷川健一編『村落共同体』(三一書房、1979年)


論題2:丸山眞男「弁証法的な全体主義」の思想史的位置付け――国家の概念に注目して

報告者:平石知久

要旨:
 近年の丸山眞男研究を取り巻く状況は、東京女子大学の丸山眞男文庫を中心として史料的な整備が進む中で、丸山の思想形成を時代背景と結びつけて理解する試みが活発化している。しかしながら、戦中期以前における丸山の政治思想の位置付けは必ずしも十分に行われているとは言えない。その理由は、第一には戦時下という時代状況の中で政治的発言が実質的に不可能であったこと、そして第二には当該時期における著作の絶対数が少なく、また一見して純粋に学術的なものであるという点にある。前述の二点から戦中以前、特に戦前期における丸山の著作が対象とされることは少ない。
 本研究ではこうした現状に鑑み、最初期の丸山の著作である「政治学に於ける国家の概念」に焦点を当て、その中で提唱されている「弁証法的な全体主義」の、政治思想としての位置付けを行いたい。本概念はすでに先行研究で、マルクス主義の影響(吉田傑俊氏)、京都学派の哲学者である田辺元の影響(今井弘道氏)、自由主義原理と民主主義原理の緊張関係(笹倉秀夫氏)という三つの観点で分析されている。本研究では、上記三研究をそれぞれ分析・批判し、その上で本概念がヴェーバーとルカーチによる物象化論の影響を受けていることを明らかにする。

参考文献:
・石田雄『丸山眞男との対話』(みすず書房、2005年)
・飯田泰三『戦後精神の光芒』(みすず書房、2006年)
・今井弘道『三木清と丸山真男の間』(風行社、2006年)
・今井弘道『丸山眞男研究序説 「弁証法的な全体主義」から「八・一五革命説」へ』(風行社、2004年)
・苅部直『丸山眞男――リベラリストの肖像』(岩波文庫、2006年)
・笹倉秀夫『丸山眞男の思想世界』(みすず書房、2005年)
・冨田宏治『丸山眞男――近代主義の「射程」』(関西学院出版会、2001年)
・吉田傑俊『丸山眞男と戦後思想』(大月書店、2013年)
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2018年度日本思想史研究会特別講演会(二)

2018年度の研究会助成プログラムの一環として、12月11日に特別講演会(二)を開催致します。

論題:埋葬と『家礼』――近世葬制における儒教と仏教
講師:松川雅信(立命館大学授業担当講師)

皆様の御参加をお待ちしております。

ポスター
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2018年12月3日(火)例会予告

論題:山脇東洋における「古医道」――その「三綱」に注目して

報告者:向静静

要旨:
 山脇東洋(1705–1762)は、後藤艮山、吉益東洞、香川修庵と並ぶ古方派の四大家である。彼は医家清水立安の長男として生まれ、医学を山脇玄修(1646–1729)に学び、その嗣子となった。享保十四(1728)年に家督を継いで、翌年の1729年に「法眼」の号を授けられている。院号は「養寿院」である。東洋は『黄帝内経・素問』『黄帝内経・霊枢』『難経』などの中国の古典医書が説いている五臓六腑説の是非をただすために、杉田玄白の小塚原における解剖に先立つこと17年、宝暦四年閏2月7日に官許を得て、京都六角獄舎において日本で初めて刑屍体の「腑分け」に立ち合い、実見した記録を『蔵志』としてまとめ、五年後の1759年に公刊に至った。そのほか、彼は当該期の日本ではあまり知られていなかった唐代の王濤の『外台秘要方』の翻刻を実施し、彼の息子である山脇東門(1736–1782)及び門下生である永富独嘯庵(1732–1766)を福井の医家である奥村良竹(1686–1760)のところに送り、「吐方」を学ばせた。今までの研究は、東洋の「観臓」のみに注目し、「観臓」の持つ医史学・文化史的な意義、「観臓」が科学であるかどうかなどをめぐる議論が盛んになされてきた。今回の報告では、東洋の「観臓」の動機を彼の「古医道」の一環である「周之職」から検討し、含めてほかの「三綱」である「漢之術」「晉唐之方」を明らかにする。

参考文献:
・北山橘庵編『雞壇嚶鳴』(中之島図書館蔵、1764年)
・『近世漢方医学書集成13、後藤艮山・山脇東洋』(名著出版、1979年)
・『近世漢方医学書集成12、吉益東洞』(名著出版、1980年)
・佐野安貞『非蔵志』(浪花書林敦屋九兵衛刊行、京都大学付属図書館蔵、1760年)
・島寺良安『和漢三才圖會』上(東京美術株式会社、1970年)
・広瀬秀雄・中山茂・小川鼎三編『日本思想大系65 洋学下』(岩波書店、1972年)
・富士川游『日本医学史』(日新書院、1941年)
・山田慶児『歴史の中の病と医学』(思文閣出版、1997年)
・中山茂『近世日本の科学思想』(講談社学術文庫、1993年)
・日本学士院編『明治前日本医学史』第一巻(日本学術振興会、1955年)
・小川鼎三『医学の歴史』(中央公論新社、1964年)
・山田慶児『日本の科学』(藤原書店、2017年)
・佐藤昌介『洋学史の研究』(中央公論社、1980年)
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