日本思想史研究会(京都)のブログ

本研究会は立命館大学を拠点に、歴史学・思想史の問題について時代・地域に捉われることなく、深く考えていく場として設立されました。2014年度後期例会は、個人研究テーマ報告です。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

5月19日 報告および討論要旨

5月19日 日本思想史研究会例会 報告及び討論要旨

 今回の報告では、津田左右吉が大正前期に形作った神代史研究――『神代史の新しい研究』(1913)及び『古事記及び日本書紀の新研究』(1919)という二冊に集中されている――を取り上げ、その主な内容と研究手法の特徴について、日本近代歴史学の成立、とりわけ実証主義史学の流入・継承との関連で、戦後の津田左右吉に関する研究史の流れ、とりわけ家永三郎氏の労作『津田左右吉の思想史的研究』と関わった形で、津田の神代史研究の史学史的位置付けを検討した。質疑段階ではまず、なぜ津田についての研究史からその神代史研究の史学史的特徴を抽出するといった構成になっているかという問題が提起された。報告者は、報告の構成について再度説明を行った上で、あくまで記紀研究の門外的立場からアプローチし、ほぼ先行研究の説を参考するしかなかったと述べた。次に、報告で述べられた2000年以降の津田研究者、澤智恵氏の研究(2010)に見られた津田神代史の「神話学志向」分析について、大正期における比較宗教学の位相に関して答えを求められた。報告者はそれを今後の課題として勉強すると答えた。最後に、津田左右吉が『神代史の新しい研究』(1913)で用いた文献批判の方法、すなわち神代史を9つの「物語」に分け、その中の重要でない物語を排除し、核心となる物語だけを取り上げて分析するような手法は、極めて主観的、恣意的ではないかと質問された。報告者はそれはいわゆる実証主義史学における史料批判の特徴であり、のち批判される的ともなったと答えた。

文責 張琳

スポンサーサイト

PageTop

5月19日 例会予告

報告題名 「津田左右吉における神代史研究の史学史的再検討」
報告者 張琳
参考文献
津田左右吉『津田左右吉全集』岩波書店、1963-1966
家永三郎『津田左右吉の思想史的研究』岩波書店、1972
新川登亀男・早川万年編『史料としての『日本書紀』 津田左右吉を読みなおす』勉誠出版、2011 
大井健輔『津田左右吉、大日本帝国との対決』勉誠出版、2015
など。
PageTop

5月12日 例会討論要旨

2016年5月12日 日本思想史研究会例会 討論要旨

 肖月氏は今年度前期のテーマ――「『日本書紀』研究の史学史的再検討」に即して、「『日本書紀』の研究に関する覚書」といった題目で報告した。報告においては、まず奈良時代より現代(平成20年頃)までに至る『日本書紀』研究への代表的な学者及び学説史が整理され、続いて『日本書紀』の各写本・刊本について紹介された。
 質疑ではまず各時代の知識人・学者はいかなる問題意識のもとで『日本書紀』に注目したのかという質問が提起された。この質問に関して、それは今回の報告はあくまで各時代の研究のあらすじを把握するためのものであり、研究者の歴史観や歴史意識・叙述など史学史的問題についてはのち各報告者によってなされるべき作業であるとされた。続いて、近代、とりわけ大正時代においては、津田左右吉の研究のみがあげられ、ほかの学者の研究についてはどうなのかという質問が出たのに対し、報告者は折口信夫の民俗学的アプローチを挙げ、その研究特色を簡単に紹介した。

文責 張琳
PageTop

5月12日 報告要旨

『日本書紀』の研究に関する覚書
 本報告は、日本書紀研究史、日本書紀の版本、神代巻のあらすじと個人の研究と関連がある中世期から近世中期までの神代巻研究の背景の紹介という四つの部分に分けている。第一部分では最初に奈良時代・平安時代の宮廷において行われた日本書紀講義の実態、またその際参加者のノートとしてまとめられた「日本紀私記」の内容を踏まえた。次いて中世の日本書紀研究が卜部兼方の『釈日本紀』、吉田兼俱の『日本紀神代抄』、一条兼良の『日本書紀纂疏』を中心にその内容・思想史的位置付けなどを見た。続いて時代背景を紹介する上、近世の日本書紀研究状況を崎門派の神代巻研究の・谷川士清の『日本書紀通證』・河村秀根の『書紀集解』・本居宣長の『日本書紀』観・伴信友の『日本書紀論』という線に沿ってその内容を紹介した。明治時代・大正時代の日本書紀研究が主に学術的な研究の紹介で、天皇制擁護の立場からの研究が触れなかった。つい最近までの研究も紹介した。第二部では田中本、前田家本など古本系統、弘安本などの卜部家本という中世以前の写本、近世の慶長勅版(神代巻のみ)、寛文九年版(全巻)の紹介をした。第三部分では神代巻のあらすじを述べた(本文のみ)。最後の部分では、中世の神仏習合の風潮の下にあった日本書紀の研究はどのような内容だったのか、またどのような特質を有したのかを見ていた。中世の神代巻研究によって、神代巻自身は神典化され、さらに神代巻自身は近世神道教学の一支点となったことは特に注目される。

文責 肖月
PageTop

5月12日 例会予告

報告題名 「『日本書紀』の研究に関する覚書」
報告者 肖月
参考文献
遠藤慶太『日本書紀の形成と諸資料』塙書房、2015年
渡邉卓『『日本書紀』受容史研究 : 国学における方法』笠間書院、2012年
松本丘『垂加神道における日本書紀研究』弘文堂、2008年
神野志隆光『古事記と日本書紀「天皇神話」の歴史』、講談社、1999年
井上光貞・大野晋・坂本太郎・家永三郎校注『日本書紀』(五)岩波書店、1995年
井上光貞・大野晋・坂本太郎・家永三郎校注『日本書紀』(一) 岩波書店、1994年
西岡和彦「大山為起の日本書紀研究と藤森神社—近世中期神道家の古典研究—」『神道宗教』153、1993年
山田英雄『日本書紀の世界』教育社、1979年(講談社より2014年再刊)
久保田収「中世における日本書紀研究」『神道史研究』22-4、1974年
 今回報告の内容は古代宮廷の中で行われた「日本書紀講義」をはじめ、その講義のノートとしての「日本紀私記」、中世の日本書紀研究(卜部兼方の『釈日本紀』、吉田兼俱の『日本紀神代抄』、一条兼良の『日本書紀纂疏』)、近世の日本書紀研究(谷川士清の『日本書紀通證』、河村秀根の『書紀集解』、本居宣長の『日本書紀』観、伴信友の『日本書紀論』)、そして近代の日本書紀研究(敷田年治の『日本紀標註』、飯田武郷の『日本書紀通釈』、津田左右吉の『古事記及日本書紀の新研究』、小島憲之の『上代日本文学と中国語文学』)、現代の日本書紀研究(2010年台まで)という時間軸にそって、『日本書紀』はどのように読まれてきたのか、またどのように研究されてきたのかを概観するものです。
 なお、『日本書紀』の写本(主に近世以前の)と刊本(慶長勅版が最初)などを紹介し、「神代巻」の内容を簡単に触れる予定です。
 ではよろしくお願いいたします。
PageTop
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。